人生を変えた出会い

僕の場合は、バブル経済崩壊後に建築設計事務所で独立起業したわけだが、俗に言う「失われた10年」のスタートの年だったので、そうは簡単に仕事を得ることは出来なかった。大きな建築現場に常駐して図面を描いたり、著名な建築家の事務所でプロジェクトマネージャー的な仕事で何とか食いつないでいた。

今でこそ「失われた10年」なんていう言葉で表現されるけど、当時は当然その不況の時代が10年以上も続くなんて想像できなかったが、先輩や友人が勤める設計事務所がどんどん潰れて行くのを目の当たりにして、知識も技術も経験もまだまだ未熟な僕がこの業界で成功できるなずもないことは容易に想像できた。

建築現場に常駐して仕事していた時に、建築CADというものに出会った。コンピューターで図面を描くのだ。僕が手描きで描いた図面を、CADのオペレターがコンピューターに入力してデータ化するという流れだった。

建築の設計図って、結構似たような図面が何枚も出てくる。手描きだと、当然それぞれを白紙から描かなくてはならないのだが、CADだと複写したものを修正すれば簡単に描けてしまう。また、手描きだと先ず図面のレイアウトを決めてからでないと描き始めることはできないのだが、CADだと気にせず描き始めて、レイアウトが上手くなければ後から簡単に移動することができる。

今でこそ当たり前の事だが、当時の僕には、この「複写」と「移動」は驚き以外の何物でもなかった。

その建築現場の仕事の任期を終え新たな仕事を見つけなくてはならなかったのだが、もうこれからは手描きで図面を描く時代ではないと判断し、コンピューターを導入することに決めた。当時はデスクトップが新品で100万円ぐらいで、中古でも40万円程度した。他に図面を出力するプロッターと呼ばれる機器も必要で、設備投資に結構かかってしまったが思い切って導入した。

これが功を奏し、CADで図面が描けるというだけで仕事になったのだ。
そしてインターネットの登場により、図面を電子メールで送れるということに衝撃を受けた。

コンピューターとインターネット。これで世の中が激変すると直感した。
僕の周りの設計事務所がどんどん潰れていく現実も手伝って建築家への夢を諦め、インターネットの可能性を追求する仕事に転身しようと決断した。

コンピューターとインターネット。こいつら、僕の人生も変えたね(笑)

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